特殊清掃専門会社が必要な理由

特殊清掃とは、お亡くなりになった方のお部屋の清掃作業を通して、現状回復を行うサービスを指します。

お部屋の清掃といえば、ハウスクリーニングなどのサービスが一般的ですが、特殊清掃における清掃とは、ハウスクリーニングと全く異なります。

なぜならば、特殊清掃が必要な現場で最も対処が必要なのは「死臭・腐敗臭の除去」だからです。

死臭や腐敗臭は、ご遺体から漏れ出た体液によって発生します。体液そのものは目に見えますが、臭いは目に見えません。この臭気を完全に消し去るには、専門的な消臭技術が必要ですが、通常のハウスクリーニングでは消臭をする機会はほとんどありません。この様に、目には見えない臭気の処理は、特殊清掃会社に求められる作業の一つです。

今回は、特殊清掃を専門で行う会社がなぜ、必要なのかその理由をご紹介したいと思います。

一般的でない汚れの除去を行う必要がある

体液と一言で言っても、その成分は皮脂、血液、排泄物などが混合しているものです。

こうした水分は、一般的な家庭用洗剤では落としきるのは難しいものです。

また、体液は放置すると黒く固まっていくため、薬剤と染みこんだ部分の材質に併せて選定した清掃用具の組み合わせによって、徹底的に洗浄する必要があります。

細菌の除去を行う必要がある

ご遺体の中に潜んでいた細菌は、死後体外に放出されます。ほとんどの一般細菌はご遺体の細胞の活動停止とともに死滅しますが、HIVウイルスなどは死後6日ほどは残存する可能性があります。

また、ご遺体から発生したものではなくても、お部屋の中には目には見えない病原菌が存在しているものです。特に人の出入りが少なくなった環境下では、換気がなされないため細菌の繁殖も進みやすい状態です。

こうした細菌は、人体への影響は与えずに、短時間で隅々まで除菌するための手立てが必要ですが、これには専用の除菌剤と薬剤を部屋の隅々まで拡散させる噴霧器（内容物を細かい霧状に分解して散布する機材）が必要です。

害虫・害獣駆除を行う必要がある

よく、「ご遺体からはウジが湧く」という表現がある通り、殆どの場合ご遺体の周囲にはウジ虫が発生します。

実際は、ご遺体の中にウジが潜んでいる訳ではなく、いわゆる腐敗臭（＝死臭）に誘われたハエが、外からおびき寄せられて、ご遺体に卵を産み付けることで発生します。

また、孤独死であれば食べかけの食品が残されている事も多く、ゴキブリやネズミが発生することも多くあります。

こうした害虫などは人目に付かない細かい隙間などに入り込みます。例えば、畳のお部屋があれば、畳受け（畳を上げた時に見える板状の面）などに隠れています。

1匹でも生息していれば、やがて繁殖する可能性が高いため、特殊清掃現場では害虫駆除剤を用いて、徹底的に駆除をする必要があります。

強い臭気を短時間で消臭する必要がある

臭気を消し去るためには、汚染箇所の洗浄がまず必要ですが、それだけでは臭いは取りきれません。目に見えない臭い分子がお部屋中に拡散し、壁や天井、床など様々な場所に付着しているからです。

これらの臭い分子が手付かずのまま残されている限り、臭いは残り続けます。

※実際は、臭いはだんだんと自然に分解されていきますが、死臭程度だと2年程度かかります。

特殊清掃会社では、死臭にも対応する業務用の効果の高い薬剤を散布して、消臭していきます。

また、更に強力に脱臭をするためには、オゾン脱臭機という機材で、臭い分子をオゾンの力で分解し、無臭化させていきます。

オゾン脱臭機はスイッチを入れるだけで稼働するため、操作自体は非常に簡単ですが、その効果を最大限に高め、短期間で強力に脱臭するためには、オゾン脱臭機のオゾン発生メカニズムに合わせた環境調整や稼働時間の調整、その後の後処理などを正しく行う必要があります。

建物の作りについての知識が必要となる

特殊清掃現場ではリフォームは必須でしょうか？にて解説していますが、現場の状況によっては一部お部屋の解体やリフォームを行う必要があります。これは、臭いをしっかりと消し去り、臭いの再発生を防ぐためには必要となる場合がある処置です。

ただ、なるべく張替え処理の費用も低く抑えるためには、どこまで解体すべきか、どのように張替えを行うかまたその部材費はどの程度のなるものか、解体によって発生する費用のイメージを持ちながら作業を行う必要があります。

この為、いくら特殊清掃会社といっても、リフォームを行うための基本的な知識を持ち合わせている必要があります。この知識が、効果のある消臭を行なっていくためには大切な情報になるのです。